<25日(金) グランドキャニオン> フラッグスタッフには予定通り、早朝04:56に到着。小さな駅構内の堅い椅子で休みながらグランドキャニオン行きのバスを待つ。08:00に迎えのバスがやって来た。いよいよ今回の旅のクライマックス、グランドキャニオン国立公園のサウスリム(南崖)に入る。 数10億年の歳月をかけてコロラド川の浸食によって創造された多彩な険しい渓谷である。平均深度1700m、長さ446km、幅6kmー29kmにもおよぶ切り立った渓谷は訪れる人々の言葉を奪ってしまうほどの景観だ。 園内には三つの無料シャトル・バスが走っており各ストップで自由に降りて景観を楽しむ仕組みになっている。まだ、ハイシーズンになっていないので、比較的すいており、ゆっくりと目の前に展開する雄大な渓谷美を満喫できた。以下の3枚の写真はサウスリム(南崖)から撮ったものである。 この夜のホテルは公園近くのGrand Hotel。立派なレストランがあり、先ほどの渓谷見学の興奮が冷めやまらない中、ウエスタン音楽の生演奏を聞きながらカウボーイという名前の西部風の夕食を楽しんだ。 <26日(土) 車中> 昨日はバスで回って陸上からゆっくりとキャニオンを見学したので、今度は空から眺めて見てみようと思いつき、ヘリコプターに乗って約1時間遊覧飛行を楽しんだ。前日とは違った角度から、彫りの深い谷や蛇行しながら底を流れるコロラド川を見て、数10億年の時間をかけて造られた自然美を堪能することができた。 超軽量遊覧ヘリコプター 空から眺めるキャニオン 欲張ったものである。陸から、空からキャニオンを眺めたのだから、今度は足で渓谷を 下ってみようと、再び公園内にタクシーを飛ばし、サウスリム(南崖)に設けられたトレッキング・コースの一つを下り始めた。だが、この日は真夏並みの暑さで、体力を余り消耗しない程度に下ろうと200m下ったところで切り立った崖を仰ぎ見て引き返した。
地平と天空から渓谷を楽しみ、そして谷の中へ下って、切り立つ崖を見上げることで、立体的にこの世界自然遺産を堪能することができ、この旅の締めくくりにふさわしいグランドキャニオンの観光となった。 2日間のグランドキャニオンの滞在を終え、深夜の01:15フラッグスタッフ駅よりロサンゼルス行きの西行きサウスウエスト・チーフ3号の2等寝台車に乗り込み、深い眠りに就いた。 <27日(日)〜29日(月)> 終着駅ロサンゼルスに4時間遅れの12:10に到着。駅のすぐ近くにあるリトル東京の 和食レストランで昼食を兼ねた反省会。元気でここまでやって来れた自分達の健康と体力に先ず感謝。 そして、今回の旅の総括として、@アメリカ大陸の広大さ、Aアメリカ人の明るさと価値観の多様性、B効率と非効率の落差の大きさ(特にAMTRAKのいい加減さ)、C豊かさと貧困の併存、C超肥満体をもたらすアメリカ人の食生活のあり方などを体感できたことを確認する。そして、いろいろな人たちとの触れ合いの中で肌や言葉の違いはあっても人は皆同じであることを認識したこと、古稀の年齢を迎えつつも新しい世界に飛び込めたおのれの体力・気力を自賛し合った。 28日午前、ロサンゼルス空港で再び厳しいセキュリティ・チェックを通り抜け、12:34発ユナイテッド航空891便で成田に向かい、日本時間29日(月)15:10成田空港の到着ロビーに無事降り立ち、次の挑戦を期して堅い握手を交わした。 <あとがき> ある日の酒席でかねてより夢に描いていたアメリカ横断旅行の話しを持ち出したら、かってニューヨークに勤務経験のある小林信生君が賛同してくれ、話がとんとん拍子に進み、本当に実現してしまった。言いだしっぺの福間はアバウトな性格で行けば何とかなるさとのん気に構えていたが元商社マンの小林君が微に入り細に入った企画書を作ってくれ、現地における小トラブルも機敏に処理してくれた。彼我の実力の差を痛感した次第。彼の技を盗んで新たな試みに挑戦して行きたいと思っている。(福間記) 今回の旅は、一人では絶対に挑戦する気になれなかったもので、福間君という良きパートナーがいたからこそできたものである。その意味で、このアメリカ横断旅行を二人の合作プロジェクトとして貫徹できたことを嬉しく思う。旅程は机上の計画であったし、途中のホテルも予約しておらず、どのような展開になるか、その場になるまで、心配であったが、二人で臨機応変に対処し、学生時代のヒッチハイク気分で、支えあって、旅を続けられた。古稀の歳になって、このような思い出深い旅行が出来たことを嬉しく思う。(小林記) |