今年の山登りは、ミズバショウの尾瀬散策へ
山歩きの仲間、トレッカー達が「何回でも行こうよ」という、もっとも
代表的な景勝地のひとつ、尾瀬沼、尾瀬ヶ原散策を、ご案内しましょう。
初めての山登りの方でも、この尾瀬は、その大半が湿原を歩くということ
ですので、そう体力を要する難しいコースではありません。奥多摩(コー
スにもよる)より、楽ともいえます。
*尾瀬の魅力
この尾瀬は、日光国立公園に属しています。しかしその場所は、群馬県、
栃木県、福島県、新潟県の4つの県の、それぞれの県境に接する地点に位
置し、燧ガ岳(ヒウチガダケ:2356m、百名山の一つ)、至仏山(シブツ
サン:2228m、百名山の一つ)や、その他の2000メートル級の山々に囲ま
れた盆地の湿原地帯です。この湿原地帯は尾瀬沼(標高:約1600m)と尾
瀬ヶ原(標高:約1400m)からなっています。
また尾瀬を源流とするのが、あの只見川です。昭和30年代、関西電力
の黒部川ダムと、東京電力の只見川ダムがよく話題になりました。因みに、
黒部の源流は北アルプス中央部に位置する黒部五郎岳(2840m)と薬師岳
(2926m、頂上から遥か富山湾、能登半島が遠望できる)の間です。この
間には雲ノ平(2400m)という日本一高い湿原があります。この湿原もな
かなかなものです。話がそれました。
尾瀬といえばミズバショウで、みなさんもよくご存知です。
この尾瀬は、われわれの住む下界が5月連休、春真っ盛りという時期で
も、他の深い山々と同じように白1色の雪の世界です。
その雪解けの湿原に水芭蕉が白い蕾の顔をだすのが、5月中旬頃からで
す。5月中旬になると尾瀬ヶ原の大部分の雪も解け始め、湿原のほぼ中央
に作られた木道を歩けます。この頃になると、プロに混じって、アマチュ
アカメラマンも大勢やってきます。可憐なミズバショウの傍にカメラを据
付けて、朝から夕方まで、光の変化のなかで微妙に、その姿を変えるミズ
バショウの写真に取ろうと、その場所取りで彼らは、どこからか暗いうち
からやって来ます。
こうして、尾瀬がシーズンとなって賑やかになっていきます。オゼコウ
ホネ(6月下旬)ヒオウギアヤメ(7月)、トキソウ(7月)が咲き乱れ、
やがてこの湿原にイワショウブが咲き、エゾリンドウが咲き始めると夏が
終わります。そして9月下旬から10月中旬までの秋です。尾瀬の秋は、
あたり一面が真っ赤になるといった派手さはありません。赤、黄色、緑が
入り混じった湿原の、その向こうの山裾にある白樺の木々の間を、霧がゆ
っくりと、たなびく、その尾瀬の雰囲気は、いいものです。
春先の早朝も、霞んだその山裾にそって薄緑の葉を付けた、その白樺の
木立の間をゆっくりと霧がたなびき、まるで東山魁夷の日本画の世界です。
と、前置きが長くなりました。
*尾瀬トレックの日時
6月初旬、中旬の梅雨入り直前がいいでしょう。梅雨明けのトレッカー
達が「ワッ」と押し寄せる季節は避けましょう。その具体的な日時は、参
加者の意見も聞いたうえで、「天候の具合」も、みながら決めることとい
たしましょう。
*交通アクセス
尾瀬に入る交通ルートは、関東地域ですと、大別して奥日光から、片品
村経由の大清水から入るルートと、上越新幹線上毛高原駅からバスで、大
清水経由か、鳩待峠(ハトマチトウゲ)のいずれかでしょう。大清水から
は、いきなりのぼり路が、かなり長く続きますので、初心者にはややつら
いでしょう。
私が推奨するのは、新宿から鳩待峠までの直通バスが、東京を夜出発し
早朝、鳩待峠着くコースです。この鳩待峠から尾瀬ヶ原へは、ほぼ一直線
の緩やかな下り道ですから、初日は疲労が残らない筈です。
もちろん新幹線上毛高原駅からバス経由で鳩待峠でもかまいません。参
加者の意向によりましょう。
一番いいのは、参加者の誰かが、ワゴン車に全員を乗せてくれるのがい
いようです。
*宿泊施設
村営の山小屋がいくつもあります。昭和40年、50年代の尾瀬の山小
屋は古くて狭く雑魚寝で、風呂のないところもあったりで、大変なところ
でした。しかし今は観光名所となって、ホテル並みとは行きませんが、山
小屋では全国でも上位に入る設備を有しています。
連絡は和久理まで TEL & FAX:047-337-5562
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