喜寿の区切りに思う

天皇賜杯第68回全日本軟式野球大会(出雲大社平成の大遷宮記念事業)開催の思い出

                         高橋貞夫(H 27/4/15)

 小生は現在76歳、5月が来れば77歳になる。今、振り返って自分が中心的に行動して事業を成し遂げて、尚且つ思いで深い出来事は一昨年秋、平成25年9月13日(金)9月18日(水)まで6日間、島根県で初めて開催された「天皇賜杯第68回全日本軟式野球大会」と言える。
 この大会は軟式野球では最高ランクA級に登録された各都道府県代表チームが参加する最高レベルの大会で、第1回大会は終戦間もない昭和21年に京都府で開催され、以後全国各都道府県が持ち廻りで開催して来た。現在の参加チームは57チームになっている。
 これまで中国地方では広島県が3回、岡山県、山口県、鳥取県も各1回開催しており、いよいよ断りきれず島根県の開催が決まった経緯がある。
 5年前に正式決定があって以来、大会開催の諸準備に入ったが、何と言っても運営費を如何に手当するかが最大の問題であった。主催の全日本軟式野球連盟からの委託金、出場チームからの参加料は決まっているものの、差額は開催支部で努力する必要がある。
 そこで島根県軟式野球連盟10支部と一般、壮年、少年、学童の登録チーム(平成20年時点382チーム、平成26年時点333チーム)に5年計画で協力金の拠出をご負担願った。また、57チームを競技5日間で運営するには8会場が必要になり、今回は出雲市5会場、松江市内3会場が充てられたが、この開催市にも補助金をお願いした。また、プログラムへの広告掲載も多くの企業、個人のご協力得て、何とか大会の資金手当てができた。
 会場は主会場が島根県立浜山公園野球場、他に松江市営野球場、島根県立浜山公園少年野球場、平田愛宕山野球場、湖陵総合公園野球場、斐川公園野球場、東出雲中央公園野球場、深田運動公園野球場の8会場、各々老朽化の進んだ設備やグランド等の刷新に、市の英断を得たことは嬉しかった。
 A級の全国大会ともなれば審判員もA級でなければならない。島根県の審判員で優秀な力量を揃えるのは大変なことではあったが、本大会には全国各地から派遣審判員が動員され、特に中国5県からは複数の審判員の派遣を仰いだ。島根県審判員のレベルアップのためには中央より技術指導員の出張のもと、数次に亘る審判講習会を開催し、何とか大過無く使命を全うすることができたと思う。
 さて、(公財)全日本軟式野球連盟の名誉総裁は現在高円宮妃久子殿下が務められておられ、本大会は毎年お成りをいただいているが、通常は初日の開会式にご出席のケースが多いが、今回はご公務の関係で決勝戦をご観戦後、閉会式にご出席と決まった。
 大会の流れを簡単に記すと、初日は本部宿舎でもある出雲ロイヤルホテルに14:00に大会役員をはじめ出場57チームの監督、主将が集合し、「監督会議」が開かれた後、16:00より出雲ドームで開会式が開かれた。主催者(公財)全日本軟式野球連盟会長、スポーツニッポン新聞社代表、来賓島根県知事、出雲市長、松江市長(代、教育長)主管島根県軟式野球連盟会長他多数の役員、来賓の整列する中、前年度優勝・鳥取ベースボールクラブ(前、パナソニック鳥取野球部)を先頭に各チームがが入場し、最後に島根県代表中筋グループと開催地5チームが行進した(注;開催地からは5チームの参加特権が与えられている)。地元チームの行進を目の当たりにした時、込み上げるものがあった。
 今大会は「出雲大社平成の大遷宮記念事業」として行われたので、各代表方々の挨拶、祝辞もこのことに触れたものが多く、事実各地からの遠来の選手、役員、応援団は出雲大社に参拝されていた。優勝旗、優勝賜杯の返還、選手宣誓(島根県代表中筋グループ主将田中勇気選手)で最高潮に達した。
 今回は開会式で始球式を行い、出雲信用組合軟式野球部から広島東洋カープに入団し、野球殿堂入りを果たした大野豊さんにお願いし、バッターの長岡出雲市長に快速球を投じられ、どよめきが起こった。
 歓迎夕食会は全国各連盟の役員、関係者総計207名が出席、前年開催の沖縄県からも参加いただき、次年度開催予定の愛媛県、次々年開催予定三重県からも多数の参加があった。アトラクションは石見の和太鼓、安来節保存会、石見神楽でもてなし、大好評であった。
 大会期間中は本部宿舎出雲ロイヤルホテルの他、3ホテルに関係者が分宿し、各会場に出向いた。各会場8時第1試合開始で、役員、審判は1時間前に集合で、出雲から松江の3会場に移動する者は満足な朝食もままならず、コンビニの世話になる。大会期間中好天に恵まれ、予定通り9月18日に決勝戦の運びになった。
 高円宮妃久子殿下も随行員4名共々予定通り来県され、歓迎夕食会に臨まれた。全軟連大森会長、島根県軟野連景山会長、溝口島根県知事、長岡出雲市長、松浦松江市長、出雲大社千家宮司、同ご令室をメーンテーブルに、各界の代表の参加をいただき、盛大な内にも和やかに会が進んだ。和太鼓演奏で開会の後、大社大土地神楽、出雲芸術アカデミーのバイオリンとピアノ演奏で歓迎申し上げた。
 ところで、本大会はドーピング検査対象の大会になっており、準決勝出場4チームの中からアットランダムに抽出した選手の尿検査が行われた。この検査場もすべからく厳重に機密性が保持されるように指導をうけた。
 決勝戦は浜山球場バクネット裏、高所に仮設の貴賓室を設け、久子妃殿下説明役の島根県理事長、同席者として島根県連会長、出雲大社宮司ご夫妻、宮内庁関係者が観戦した。警備は島根県警、出雲警察署にお世話になった。
 試合は千葉県代表「株式会社京葉銀行」が東京代表「スリーボンド高分子(株)」を1対0の僅差で破り、前身の千葉相互銀行の優勝以来32年ぶりの優勝を飾った。
 閉会式では(株)京葉銀行チームに高円宮妃久子殿下より一人一人優勝メダルを笑顔で掛けていただいた姿が印象的だった。
 大会終了後、妃殿下には出雲空港への途上、荒神谷遺跡公園に立ち寄っていただき、358本の銅剣出土の現場をご覧いただいた。
 大会期間中、全国から役員、審判員、選手、応援団、視察員、報道関係、その他役2000名の方々が島根県にご来県になり、出雲大社平成大遷宮のご縁が結ばれたことの企画、演出の任に当たらせていただいたことを、今、静かに達成感に包まれている。なお、小生、平成27年3月をもって、島根県軟式野球連盟事務局長を退任し、現在後任者へのアドバイス役を務めている。

 以下に載せた写真から大会の雰囲気を感じ取っていただければ嬉しいです。







 
 次は今岡宣美君にお願いします。