北 海 道 完 走


平成20年8月16日
 周藤 憲正

 私達夫婦と 6年前のクリスマスに生まれた黒のラブラドールの女の子「ノエル」の二人と一匹は、ワイド&ロングボディのトヨタハイエースにキャンピングカーとしての装備を付した車で、北海道を7月6日から21日までの15泊16日間、元気に快適に旅をしてきた。
 一昨年11月に、数十年来苦しんできた脊柱管狭窄と腰椎変性すべり症の手術を受け、大好きなゴルフが出来なくなったと思い込んだ私は(その後ゴルフは再開しているが)、それでもせめて70代の前半は何かアウトドアを楽しみたいものだと思っていた。これまでもペットと泊れる宿を探しては旅を楽しんでいたのだが、それも自ずと制限がある。因みに島根県は大型犬と共に泊れる宿が一軒もない。そこで、インターネットでキャンピングカーを探したところ大変気に入った車があり、昨年5月に注文、無理に無理を言って8月末には納車して貰った。今回の旅は、その時から是非行ってみたいと念願していた旅だったのである。


キャンピングカーの内部仕様

 北海道を車で旅した人の忠告は、「何回かに分けて行くように。一度では無理だ。」というものであった。車を購入後この旅に備えて何回も近・中距離旅行を行ってはいたが、腰の不安もあり、今回の旅行計画を、南北海道のみの基本案・省略する案・追加する案の3つ作っていた。しかし、心中では、気力と体力を維持して是非全道一巡を果たしたいと念じていた。結果は4160kmを走り、ほとんど一巡することが出来たのである。
 ラベンダー鑑賞、函館の夜景と朝市、旭山動物園、日本最北端到達、知床での遊覧船、摩周湖の霧、阿寒湖・洞爺湖の澄み切った水と広大な釧路湿原…全て素晴らしかった。


小樽運河の畔で

ファーム富田でラベンダー鑑賞

美しい広大な丘陵

日本最北端の地(宗谷岬)で

 しかし、それにも増して素晴らしかったのは、ハイエースの高〜い運転席から見える広大な畑や丘陵、長くまっすぐに続く道。それは正に「デッカイゾ〜!北海道!」だった。


釧路湿原で

道の駅とようらで昼食

 帰路青森では太宰治の生家、「斜陽館(豪邸)」に寄り、更に八甲田、十和田湖ラインでは奥入瀬渓流を横目で見る等、我ながら本当によく走った。

青森県五所川原の太宰治の生家「斜陽館(豪邸)」で

 途中ホテル泊も必要ではないか、ノエルは初のフェリー乗船もあり大丈夫だろうか等本当に気掛かりだった。しかし、殆どの宿泊に利用した道の駅には、非常に多くの車が宿泊しており、車の人達は仲間としてすぐ親しくなれる上に、ペットを通じると一層多くの人と親しくなれる。又、何と言っても地元の人達が何かと非常に親切だった。殆どの道の駅には広い草原があり、ノエルもリードなしで思い切り走らす事が出来、その上夜が涼しくて過ごし易く、15泊全て車中で眠る事が出来た。ノエルも随分気を使ってくれ、狭い車中で大型犬が健気にもあっちに避け、こっちに寄りしてくれた。大層気疲れした事だろう。可哀想な気もしたが、何処かに預けておくよりも、我々と一緒の方が喜ぶ筈だと思い込む事にしていた。

 とにかく、楽しく素晴らしくあっという間に終わったのだが、今回の旅で私の知らない世界に出会った気がする。今まで私の中では旅行する際には詳細な計画が必須であると考えていた。しかし、宿泊地で出会った人達に「何時まで滞在するのか」と尋ねると、殆どの人が「涼しくなるまで」とか、「季節が変わって虹マス(?)を釣ってから」等々、悠々ゆったりした答えだ。初めはびっくりしていたが、その後、自分もそんな旅をしてみたいと思い始めた。本当に沢山の年長のキャンパーたちが、旅をゆったりと心から楽しんでいるのだ。

 私も、今回の完走で、気力・体力・運転技術がまだまだ大丈夫との自信をもった。来年まで一層健康管理と体力の維持に努めて、キャンピング仕様の車の持つ"何時でも何処でも宿泊出来る"点を大いに活かして、アバウトに計画を立て、キャンパー達から多くの情報を貰いながら、涼しくて美味しい空気、佳い景色、美しい花々、うまい食べ物、温泉めぐり等を楽しみ、趣味の風景写真を撮りながらゆったりとした北海道の旅を満喫したいと今からもう楽しみにしている。昨今のガソリンの高騰は非常に痛いが、出来得るなら更に欲張って二人と一匹で日本国内隅々まで走り回ってみたい等とも考えている。