霧につつまれた高水三山を歩く

平成18年10月29日 
小林 信生 

  10月27日(金)午前9時45分にJR軍畑駅に、ハイキングクラブ4人の諸君(木下、福間(三)、藤江、小林)が集まった。藤江君は、途中電車の乗り継ぎがうまく行かず、待たせてはいけないと思って、青梅駅からタクシーで駆けつけてくれた。 今日の行程は、高水三山(高水山、岩茸石山、惣岳山)の縦走・高低差550m・歩行距離9kmとなっている。この山には、平成15年5月、このハイキングクラブで登っているので、今回で2度目となる。

「高水三山」ハイキング・コース(9km、高低差:550m)

 午前10時軍畑駅を出発。昔の武士たちの鎧や刀を葬ったという鎧塚の横を通り、秩父へ抜ける鎌倉街道を暫く歩いて、高水山口を示す道標を左折して、登山道に向かう。高水山頂に、鎌倉時代の武将畠山重忠が信仰した古刹、常福院があることから、登山道には一合目から十合目までの道標がしっかりと立てられていて、ハイカーを導いてくれる。

コース入り口


一合目の道標

 急な坂道やマイナスイオンに満杯の杉木立の道をたどって、約2時間で頂上(759m)の常福院に到着。早朝から出かけたわれわれは空腹の絶頂で、お寺の横の東屋で腹ごしらえする。湿気が多いためか、大量の汗をかき、登りはかなりきつかったが、ここでの休憩は疲れた体を癒やすのに十分であった。



先ずは常福院にて安全祈願


高水山山頂(759m)にて

 この日の天候は、朝の内は曇り、午後から晴れるとの予想であったが、一向に晴れる気配なく、登りの道は乳白色の霧につつまれた山道を歩いたが、かえって幻想的で「こういう山もいいね」と話しながら、しっとりと湿った山の雰囲気を楽しむことが出来た。

乳白色に包まれた幻想的な山道(その1)



乳白色に包まれた幻想的な山道(その2)

 約30分で昼食をとり、体力を取り戻したころ、「これから尾根を縦走するよ」と木下リーダーの号令がかかり、12時半に出発。100mほど、かなり急な坂を下りてからは、快適な林間道を行く。一時間足らずで、やや開けた岩茸石(いわたけいしやま)山頂(793m)に立つが、相変わらず、霧は晴れず奥多摩の山並みはまったく見えない。

岩茸石山山頂(793m)にて

 小休止の後、次の惣岳山(そうがくさん)を目指す。この山の手前の100mほどが、せり出した直登の岩場となり、スリル万点である。フーフーいいながら、岩を掴み、ロープに頼って登りきるとそこが山頂(756m)である。そこには青渭(あおい)神社が建っているが、全面に囲いが施されていて、倉庫のようで趣がない。鬱蒼とした杉林にかこまれた頂上で水分を補給して、いよいよ下山となる。


惣岳山山頂手前のロック・クライミング


惣岳山山頂(756m)にて

 一時間半ほどの歩行となるが、長いダラダラ坂の下りで、ひざに負担がかかる。途中、真名井天神の水場を通る。今ではほとんど水は流れていないが、これまでは幾多の登山者の喉を潤してきたものと思われる。ここを過ぎたあたりから、やや明るくなり、太陽の光が差し始める。 あと、JR御嶽駅まで1キロメーターというところで、パーッと視界が広がり、下に御岳のの町並が見え、「今日はじめて見る下界だー!」と声をあげる。最後はかなり急勾配のくだりが続き、午後4時にゴールの蕎麦屋「玉川屋」にたどり着く。

真名井天神の水場


御岳の街並み

 高水三山は、奥多摩ハイキングの入門コースといわれるが、三つ山の頂を踏み、そこには、急峻な坂道、そそり立つ岩場、静かな木立の森林浴と、多くのことを一度に経験できる欲張ったハイキングコースであるという印象を持った。 玉川屋では、汗をとり、濡れたシャツを替え、冷えたビールで乾杯。健康的に過した一日を思い返し、毎月続いているこのハイキングクラブの活動を自画自賛した。JR御嶽駅午後5時38分の電車に飛び乗り、帰路についた。


蕎麦屋「玉川屋」での反省会

 来月は、今年のハイライトとなる南九州の三名峰、開聞岳、高千穂峰、韓国岳への登山が予定されている。乞う、ご期待。    



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