箱根八里東坂道を下る
平成18年8月27日
藤江淳美
8月の定例ハイキングは箱根旧街道の東坂を下るコース。去年の7月西坂を下ったので今回は東坂を下って、箱根八里を制覇しようとする企てである。箱根八里とは東海道の小田原から箱根峠までの東坂約17km、箱根峠から三島までの西坂約14km、合わせて約八里(31km)を指し、その昔、大井川と並んで東海道で最大の難所といわれた街道である。
箱根関所跡→甘酒茶屋→畑宿ー奥湯本天山湯治郷(11km)
8月24日、木下勲君、福間三郎君、藤江淳美の3人が参加、小田原駅からバスで1時間かけて標高760mの関所跡で下車。11時、横目に芦ノ湖を眺めながら、復元工事中の箱根関所の門をくぐり、奥湯本の天山湯治郷を目指して、11kmの箱根旧街道東坂を下り始める。
江戸時代の姿に復元中の箱根関所
芦ノ湖周辺は夏休みを楽しむ観光客で賑わっていたが、一歩旧街道へ足を踏み入れると、両脇に胴回り1mはあろうかと思われる杉が整然と立ち並ぶ静寂の並木道が開ける。この杉並木は徳川幕府が370年前、旅人に木陰を与えようと道の両側に植えたもので東海道では唯一の杉並木だそうだ。現在では国指定史跡として保護され420本の杉が残されている。
370年の樹齢を刻む杉並木道
杉並木道を過ぎると箱根旧街道という標識があり、ここから石が整然と敷き詰められた石畳道に入る。この石畳は延宝8年(1680)参勤交代の便宜を図って江戸幕府が敷設したものであるが、時々の修理を得た後、文久元年(1863)皇女和宮内親王が14代将軍徳川家茂のもとに降嫁する際に全面的に改修されたと言われ、国指定史跡になっている。
坂道には道の特徴によって名前が付けられており、代表的な急坂として「権現坂」、「猿滑り坂」、「樫木坂」、「女転がし坂」などがある。いずれも苔むしていて滑りやすく、下りであるが故に特に滑りやすい。3人とも一度は足を取られて後ろ向きに転んだが背負っているリュックがクッションになって大事には至らなかった。昔の旅人や籠かきの苦労がしのばれる。
箱根旧街道案内板の前で
最初の石畳道(権現坂)
12時、丁度中間点に当たる「甘酒茶屋」に到着、400年の伝統を持つ甘酒を求めて、 昼食を取る。箱根八里には急坂な箱根坂への休憩地点として13件の甘酒茶屋があり、この茶屋はその中の一つだそうだ。
400年の歴史を誇る「甘酒茶屋」
甘酒を飲みながらの昼食
「猿滑り坂」の名前の由来の説明板
木下、福間君が滑って転んだ「猿滑り坂」
石畳の構造説明板
14時、中間地点の畑宿に到着。ここは古くからの寄木細工で知られ、東坂で最も賑わった村。その入り口には江戸より23里(90km)を示す一里塚がある。幕府は旅人の目安として一里(4km)ごとに一里塚を造った。東海道で現存する一里塚では当時のものに 一番近いものだそうだ。
箱根旧街道東坂道の上り口の「畑宿」
江戸より23里を示す一里塚
次いで街道筋に平行して流れている須雲川自然探勝歩道に入り須雲川の清流と周囲の緑に疲れをいやして、最終目的地である奥湯本天山湯治郷に16時に到着した。歩行時間5時間、歩行距離11km、流した汗ペット・ボトル(500ml)3本分、1年前に西坂下りに 参加して以来の真夏のハイキングであったが木下、福間両君に助けられながらなんとか踏破できた。両君に感謝したい。
自然探勝道内の二重の滝
天山温泉で汗を流して
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