春爛漫の「奥多摩むかしみち」をゆく

平成18年4月21日 
小林 信生 

  4月18日(火)、この日の参加者は木下君、福間君、そして小生の三人。忙しく行き交うサラリーマンたちの間をすり抜けて、立川駅9時15分発の青梅行電車に乗る。更に、青梅駅で乗り替え、約1時間で東京都の一番奥の懐、奥多摩駅に到着する。
 ここから小河内ダム(奥多摩湖)まで、多摩川の左岸に沿って延びる昔の青梅街道(奥多摩むかしみち)約10kmが今日の行程である。この日は、快晴でとても暖かい日となり、半袖で十分であった。

「奥多摩むかしみち」ハイキング・コース(10km)

  奥多摩駅から5分ほど歩くと「むかしみち」入り口に着く。立派な看板が立っていて、これからの行程を親切丁寧に教えてくれる。午前10時40分、スタート。ここまで来ると多摩川も川幅が狭まく、切り立った深い谷となっており、川をまたぐ橋はどれも水面から高い。急流の下を見ると、背筋が寒くなるような感じである。

コース入り口


多摩川上流

 歩き始めてすぐ、昔、小河内ダム建設の資機材を運んだ貨物列車の軌道と思われる二本の線路の横へ出る。この線路はこの後もわれわれの行程に沿って、見え隠れすることになる。「むかしみち」といっても、小さな集落の軒先を通るような形になっており、まだ生活道路として現役のところもあり、舗装されている部分と砂利や草の道とが混在する。下流から上流に向かって歩くので、全体的にはやや登りであるが、谷を縫って登ったり、下ったりしながらも息が切れるような急坂はなく、看板もしっかりと出ていて穏やかなハイキングコースとなっている。


ハイキング道


今は廃線の軌道

 この道は「奥多摩むかしみち」として観光的に有名であるが、歩いて感じた事は、春のいま頃はとても花のきれいな道である。
 山には満開の桜が点在し、杏、木蓮、ツツジ、ヤマブキ、芝桜、ダイコンの花(他にもいろんな花があったが、小生には不詳)などが、ハイカーの目を楽しませてくれる。そして、幽谷の旧街道であるので、巨木・巨石・奇石などが点在し、自然に畏敬の念を持つ信仰深い人達が残した神社・祠・石仏などが多く、道行く人の心を癒す道でもある。谷をまたいで、向こう岸と連絡する吊り橋(しだくら橋、道所橋)がかかっているのも趣がある。高所恐怖症の木下君はちょっと覗いただけで、真ん中までは行き着かない。

山肌を覆う山桜


ミツバツツジ

木蓮


ダイコンの花

巨木(槐(サイカチ)の木)


奇石(弁慶の腕抜き岩)

石仏


吊り橋(しだくら橋)

 小河内ダムへ登る最後のところがやや急坂となっていて、150mくらい一気に登るとそこにひっそりとした水根集落がある。
 そこから、御前山をバックに、満開の桜で囲まれたダムの輝く水面が見える。このダムは、1926年(昭和元年)に計画され、1938年(昭和13年)に着工、戦中一時中断したが、1957年(昭和32年)に完成した、上水道を主として、洪水調節、発電、灌漑にも用いる多目的ダムである。今でも、小生はこのダムの水を飲ませてもらっていることを考えると頭が下がる。
 ダムの年代記録を見て、昭和13年生まれ、昭和32年高校卒業のわれわれと同年代であり、何か親しみを感じる。「ダムの建設に費やされた犠牲とエネルギーは計り知れないものがあるね」と話しながらダムにたどり着いたのは、午後3時であった。


後方が御前山


奥多摩湖


奥多摩湖をバックに

 奥多摩湖畔で一休みして、3時15分発のバスに乗り、奥多摩駅へ戻る。駅から歩いて10分ほどの奥多摩温泉「もえぎの湯」に向かう。ゆったりと温泉に浸かって、疲れた筋肉をほぐしたあとは、これまた楽しい反省会。冷たいビールがすーっと火照った体をさまし、至福の時をもたらしてくれた。健康が保たれることの大切さを感じ、元気なうちにやりたいことの披露合戦で、あっという間に2時間以上を費やし、時すでに6時。奥多摩駅に戻り、帰路についた。



 今回の全写真を Yahoo! PHOTOS にアップロードし公開しています。新緑や花がたくさんあります。ここをクリックして、「奥多摩むかしみち」をスライドショウでご覧下さい。  



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