春まだ来ぬ奥多摩をゆく

平成18年3月2日 
小林 信生 

  同窓会ハイキングクラブ2月例会を2月28日(火)に開催するので、午前9時10分までにJR青梅駅に集合。奥多摩の代表的なハイキング・コースの一つである御岳山から日の出山へ登ろうというリーダー木下 勲君の号令がかかる。


御岳山→日の出山→三室山→愛宕神社→日向和田駅 15km

  当日は南武線の車両事故でやや時間的には遅れたが、リーダーの木下 勲君、サブリーダーの福間三郎君、そして見習生の小生の三名が指定の場所に集まる。天候は、いつ降り出してもおかしくないくらいの曇天で、気温も低い。平日でも、奥多摩の山々に向かうハイカーが増え始める頃だが、さすがにこの天候ではハイカーの姿は見えない。しかし、われわれ一行は全く気にせず、青梅駅9時56分発「奥多摩」行き電車に乗る。御嶽駅(標高233M)で下車し、駅前からバスで御岳ケーブル滝本駅(407M)へ向かい、ケーブルで御岳山駅(831M)についたのは、丁度11時であった。


御嶽神社参道入り口前で


2℃を示す山道の温度計


雲にかすむ日の出山

 山頂の気温は2度だったが、陽が照っていないので体感温度はもっと低い。晴天なら、山頂からの眺望が素晴らしいものと思われるが、この日は霧がかかり、眺望はない。これから向かう日の出山がかすんで見える。

 まず、10分ほど歩いてビジターセンターに立ち寄り、リーダー木下君がこれから歩く山道の状況を確かめる。「雪は残っていませんが、気温が低いので道は凍結しています。特に落ち葉の下が凍っているかもしれませんので、ご注意ください。」との係りの話し。中高年のハイキングには無理や無茶は禁物だ。互いに気を付けようと歩き始める。

 御岳山には自然のすべてが揃っているといわれ、可憐な野花、カッコウやブッポウソウなどの野鳥、ムササビ、リス、ヤマネなどの小動物から樹齢千年を数える巨木にいたる豊かな自然を満喫できる。地形的にも、岩場あり・沢ありで変化に富み、関東一といわれる山岳宗教の本山、武蔵御嶽神社が鎮座しており、信仰の山としても昔から有名である。

 お参りの人たちのための宿坊(今は旅館や民宿でもある)が立ち並ぶ石畳の道を通り抜け、御嶽神社の参道をたどるが、周りに関東近辺の参拝者(講)の記念石碑が林立しているのは壮観である。山頂(929M)に本殿があり、悪天候にも関わらず、さすがにここには数人の参拝者がお参りに来ていた。このあたりは、住所としては青梅市御嶽山○○番地となっており、郵便物がバイクで900メーターの山上まで配達されているのには驚いた。郵政民営化後もこのようなサービスがちゃんとできるだろうかと福間君と論じた。
 

閑散とした参道


講の記念石碑の群れ

武蔵御嶽神社本殿


高所への郵便配達

 御岳山から日の出山に向かうには、すこし下って尾根づたいに約45分かかるが、最後の10分程度は登りとなる。山頂(902M)はかなり冷えていて、零下1度くらい。これくらい体を動かすと普通なら汗ばむが、ほとんど汗は出ず、体を冷やさないために、山頂での昼食も余り長居は出来ない。おにぎりをほおばり、水分補給し、小生が持っていったウィスキーをキューっと流し込んで、短時間の休憩で山頂を後にする。


山頂を覆う霧氷


山頂での燃料補給


日の出山山頂(902m)で

 下り道は、いくつかの選択があるが、リーダーは三室山(647M)から愛宕山(584M)を経て、愛宕神社へ下る道を選ぶ。三室山までは緩やかな下りで約1時間、そこから愛宕山を経由して愛宕神社まではやや急な下りで約1時間10分の道のり。途中、杉の間伐の現場を通る。樹齢何十年の年輪をもった杉の木がごろごろところがる横を通り過ぎながら、この伐採が海の生態系にまで影響を及ぼすことになるのだろうねと話す。


杉の木に囲まれた山道


愛宕神社本殿

 愛宕神社下に吉川英治記念館があるが、JR日向和田駅の近くにいい蕎麦屋があるのでそこで反省会をしようとの木下君の提案を受けて、記念館には入らずにそのまま歩き続ける。途中の吉野梅郷は例年ならもう梅の満開期を迎えているはずであるが、今年は遅れているのかまだ固いつぼみ程度で、華やかさはない。30分ほど梅林横の一般道を歩いて、件の蕎麦屋「谷津」に到着したのが午後4時。11時にスタートして丁度5時間の行程であった。

 蕎麦屋「谷津」は、冷え切った体を休め、温めるには格好のお店で、ほかに客はなく、われわれ三人だけでゆったりと反省会ができた。お料理よし、お酒よし、最後に出た十割蕎麦も最高で、大いに満足。さらに、ご主人が大の虎キチときていて、木下・福間両人とウマが合い、昨年のタイガース優勝記念に配ったというおみやげ(梅酒)まで頂いて、ご機嫌でお店を出る。


十割蕎麦を食しながら反省会

 我慢してくれていた曇天からは、耐えかねたようにぱらぱらと雨が振り出す。「今日一日、歩いている間はよくもったねー」とお天気にも感謝しつつ、日向和田駅から青梅駅へ向かう電車に乗る。

(今回のハイキングを終えての感想)

 一昨年10月に腰痛(脊柱間狭窄症)を患って以来、初めての本格的なハイキングで、木下・福間両君には随分と気を遣わせてしまったが、優しく病み上がりの小生を励まし、体力に合わせたコース選択をしてくれたことに心から感謝する。とくに、福間君は、横須賀から奥多摩まで片道3時間近くかけて出かけてくれたことになり、誠にありがたい友をもったことを喜ぶ。お二人のおかげで、5時間の行程をなんとか完走できたことを大変嬉しく思うと共に、ますます健康が第一であることを痛感させられた一日であった。  



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