残雪の奥武蔵を歩く

平成17年3月2日 
福間 三郎 

 2月27日(日)、快晴、今冬一番の冷え込みの中、峠からの眺望が美しいことで名高い奥武蔵(埼玉県)の顔振峠(かあふりとうげ)のハイキングを楽しんだ。
 連れはいつもの木下勲君。
 この峠の名前はその昔、源義経、弁慶主従が頼朝に追われ、奥州に逃げる際、越えた峠で、付近の風景の美しさに何度も振り向きながら登ったことに由来するという。 JR八王子駅経由八高線東飯能駅から西武鉄道に乗り換え吾野駅下車(11:00)。ここを起点に顔振峠(540m)→越上山(おがみさん、567m)→ユガテの「関東ふれあいの道」を義経弁慶の伝説のロマンを求めて歩き出す。


吾野→顔振峠→見晴台→越上山→ユガテ→東吾野ハイキング・コース(14Km)

 駅の右手から国道299号を横断して、舗装された林道を30分も歩くと右手に顔振峠の標識があり、ここから峠に通ずる山道に入る。3日前に関東甲信越地方に降った雪が残り、まるで冬山登山だ。冷気が顔を刺す。杉花粉が空中を舞うのが目に見える。雪に足をとられながら、樹林に覆われた古くからの集落道を登ること60分、周囲が急に開けて眺望が楽しめる顔振峠に12:30到着。風光を売りにしている茶店数軒が目に入る。一番の老舗といわれる富士見茶屋で昼食を兼ねて、早速、名物の手打ち蕎麦を求める。


顔振峠道標


残雪に覆われた山道

 この店ではなんでもその日の早朝に打った蕎麦を出すのを原則としており、ハイカーが多い時は食べられないこともあるという。蕎麦には味噌おでんと秩父産のワインが付く。この地特産の柚子の風味が効いたタレで食べる蕎麦の味は格別だ。
 斜面に広がる風影(ふかげ)集落ののどかな風景とその向こうに霞む奥武蔵や奥多摩の山々、そのまた向こうに雄姿を誇る富士山の眺めも天下一品だ。(写真で紹介できなくて残念)


名物の盛り蕎麦セット


茶屋の野外テーブルで昼食

顔振峠の名前の由来説明碑


奥武蔵、奥多摩方面の遠望

 義経、弁慶が眺めたであろう往時の眺望にしばし思いをはせながら、見晴台へと急ぐ。ここからは視界が北関東一円に広がり、筑波山や日光連山がはるか彼方に霞んで見える。
 

見晴台頂上で


かすかに日光連山を望む

 見晴台からの眺望を寸時楽しみ、次の目的地越上山の登頂は残雪の状況を考えてスキップ。残雪に足をすくわれないよう山道の樹木を捕まえながら、慎重に下って15:40ユカデ集落に到着。ここまで下ると雪は消え、農家の庭先には柚子の木が生い茂り、芳香が漂う中、梅が満開の別天地に変わる。この集落は周囲の厳しい環境と違って、何故か年中日が当たり、草花が咲き乱れるので、古来から、桃源郷と呼ばれて来たそうな。畑の脇にある柚子の木の脇に自由にもぎ取って6個100円と看板が立っていたので、家への土産にと一時、柚子もぎに興じた。


柚子採り


柚子6個100円

  予定よりやや遅れて、JR八高線東飯能駅に17:30帰着。駅前の居酒屋でしばし疲れを癒し、帰途についた。今回のハイキング・コースは勾配も距離も手ごろなコースで、シーズン中は家族連れの多くのハイカーで賑わうという。今回は思わぬ残雪で苦労したが新緑の頃、再度訪れてみたいと思う。                            



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