台風一過の大菩薩を行く
                              平成15年8月11日                                   福間三郎  日本列島を縦断した台風10号が東北地方に去った翌10日の日曜日、木下勲君と 大菩薩峠登山を楽しんだ。位置は山梨県北東部「大菩薩嶺(2057m)-日本百名山」 南東の峠で標高は1897m。「秩父多摩国立公園」の一角を占め、峠から見晴らす富士 山や南アルプスの山々、眼下に広がる甲府盆地の眺望は素晴らしく、多くのハイカー を魅了している峠である。中里介山(1885〜1944)の長編小説「大菩薩峠」でその名 をご存知の同窓生も多かろう。  福間は土日運転JR特急「はまかいじ号」で07:46横浜発、途中、町田で木下君と 合流、山梨県は塩山市に向かった。南アルプス登山を目指す登山客で座席は満杯。老 若男女色とりどりの登山スタイルで列車内は華やかそのもの、昨日の台風など嘘のよ うな賑わいだ。09:41塩山駅到着。大菩薩峠登山の玄関駅である。今日は台風一過、 地上では今夏最高の気温35℃が予報され、この時間帯でも汗ばむほどの真夏晴れであ る。山上の気候も同様であろうか。
(上のマップをクリックすると大きな画層で見ることができます。)
 今回は日帰り登山のため麓から歩く余裕はない。距離を稼ぐため駅前からいきなり タクシーで上日川(かみにっかわ)峠地点(1600m)まで一挙に駆け上る。時に10: 20。ここを起点とし雷岩、大菩薩嶺、大菩薩峠、上日川峠の約10kmを走破して15: 00に起点の上日川峠に帰って来るのが今回の登山ルートである。

大菩薩峠山道入り口にて

頂上への登り口「福ちゃん荘」

 上日川地点から早速、頂上を目指してカラマツやモミの自然林に囲まれた登山道に
足を入れる。昨日の台風の影響か山道には風にもぎ取られた若木の枝が散乱し芳香を
放つ。風になぎ倒された老木があちこちで道を塞ぐ。障害物をまたぎながら25分も
歩くと頂上への登り口「福ちゃん荘」に着く。ハイカーが一休み入れる地点だ。最近
皇太子ご夫妻が大菩薩に登られ、この「福ちゃん荘」で休憩を取られたそうだ。ロッ
ジの壁にその時の写真が飾られている。

雷岩にてポーズ

雷岩前のお花畑

 10分の休憩の後、次の目的地「雷岩」を目指し登頂開始。このあたりから山道は
岩道に変わり、勾配もきつくなる。ストックでバランスを取りつつ、息を切らせなが
ら岩塊が露出した雷岩地点(2000m)に到着。岩塊に腰掛けて前方に展開する眺望を
楽しむ地点とされている。このあたりはよく雷が落ちるのでこの名前がついたそうだ。
丁度12:00、多数の先着グループが弁当を広げながら前面に開けた高山植物のお花畑
を楽しんでいる。我々も予定を早めて昼食を兼ねてしばしの休憩をとる。お花畑の端
にしゃがんで珍しい高山植物の花をデジカメで近写する。

シモツケソウ

ヤマハハコ


ウスユキソウ

コウリンカ

 雷岩で30分休憩の後、大菩薩嶺を目指して行動開始。12:45登頂。回りは樹木に
覆われていて眺望は無い。記念撮影後、今度は大菩薩峠を目指して稜線を下る。富士
山や南アルプスの眺望が楽しめるコースだ。だが、なんということか、台風一過で雲
ひとつない大パノラマを期待してここまで来たのに、遠方は雲また雲。残念ながら眺
望のかけらも望めなかった。ここの尾根道は幅が広く樹木がもたらす木陰が無いため、
直射日光をまともに受ける羽目となる。大菩薩峠の目標地点「介山荘」に飛び込み、
ビールで喉を潤す。茶屋の親父に慰められる。「眺望が悪くてすみません。また、来
ていただく楽しみがおできになったのではないですか」と。

大菩薩嶺頂上にて

大菩薩峠頂上にて

 茶屋を14:30出発、ブナやミズナラ等の原生林の山道を下って起点の上日川峠にや
や遅れて15:30到着。ここから再びタクシーで塩山駅へ向かう。16:58 JR特急「は
まかいじ号」で横浜方面へ向かう。甲府名産のワインを買い込み車中で反省会。7月
末で無事定年を迎えた木下君に福間が先輩ずらをして、定年後の過ごし方のノウハウ
を説く。加えて8月第4週の和久理登山学校主催の「白馬大雪渓トレッキング」に二
人で参加することを確認。今日の大菩薩登山は眺望堪能という意味合いにおいて必ず
しも期待した成果は得られなかったが、来る「白馬トレッキング」の予行演習と位置
付けてお互いに納得。ワインをグイと飲み干した。



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