雨に煙る高水三山
                                                    平成15年5月18日記                               福間三郎  高水三山は高水山(759m)、岩茸石山(いわたけいしやま:793m)、 惣岳山(そうがくさん:756m)の三つの山の総称である。青梅市の北西部、 奥多摩の玄関口に多摩川を挟んで御岳山と向き合っている山々である。JR 青梅線軍畑(いくさばた)駅に始まる一つのコースに結ばれ、その手頃な標 高と三つの山を結ぶ尾根道の縦走気分も味わえるため、登山初心者向けの登 山コースとして人気を博している。  関東地方はこのところ梅雨を思わせるような天気が続き、5月16日(金) に予定したハイキングを雨天のため翌17日(土)に急きょ変更したが、生憎 の雨模様、午後になったら晴れることを期待して、木下勲君と08:30立川駅 青梅線のホームで落ち合った。この季節、土曜日と来たら、ホームはハイカ ーで溢れるはずが、悪天候故か、ハイカーのパーテーはまばらであった。青 梅線に乗り換え小1時間で高水三山の入り口駅で無人駅の軍畑駅に到着。早 速小雨降る高水山山頂を目指して山道を登りだした。山道入り口の建て看板 に「最近、熊出没につき注意の事」とあり、思わぬ脅威にいささか緊張を覚 えながら登り始めた。
ルートマップ (画像をクリックすると大きな画像で見ることができます。)
 軍畑駅からはしばらく舗装道路の坂道を登って行くと、杉木立の山道に入 る。結構急坂で普段の運動不足の身にとっては息が切れる。雨のため山道か らの眺望は望めない。時折樹間から聞こえて来るウグイスの鳴き声が単調な 登りに重くなりがちな足を励ましてくれる。小雨に煙る周囲の景観は乳白色 に包まれて幻想的だ。

高水三山入り口無人駅軍畑駅
雨に濡れる高水山道入り口


杉木立の急坂な登山道
乳白色にかすむ杉木立

 登り口から休憩を取りつつ、ゆっくり登って2時間で常福院に到着。高水
山山頂はこの寺院の裏手からひと登りしたところだ。時に11:40、降雨のた
め頂上で昼食を取りずらいので、寺院の庭園に設けられている東屋で他のパ
ーテーと一緒になって昼食を取る。30分の休憩の後、高水山山頂に到着。
山頂は木立に阻まれている上、小雨に煙って展望はゼロ。直ちに隣の岩茸石
山を目指して尾根道の縦走を開始。急斜面をストックに頼りながらひとしき
り下るとなだらかな尾根道だ。40分の縦走で岩茸石山の頂上に到着。天気
が良ければ秩父の山々の風景や先ほど歩いてきた高水山が望めるのだが乳白
色のモヤの中に雑木林がかすかに望めるだけだ。

高水山山頂で
岩茸石山山頂で

 今度は三つ目の山、惣岳山を目指して縦走を開始、時に13:00。急な坂道
をひとしきり下ると今度は大きな岩が立ちはだかる上り坂となる。ここが一
番の難所。岩の下から這い出した木の根っこに手をかけ、足を引っ掛けなが
ら、ロック・クライミングの気分をしばし味わいながら息を切らしていると
いつの間にか惣岳山山頂に到着。時に14:00。いまだ小雨降りしきり、周囲
の展望はゼロ。

一最難所のロック山道

惣岳山山頂で

 この後は御岳渓谷を目指してひたすら下山。単調な山道ながら雨天のため
山道がぬかるみ、足を取られながらひたすら下界を目指す。やがて、眼下に
青梅線の鉄路や青梅街道を行き交う車が見えてくると、10分もすると青梅
線御嶽駅に到着。時に15:10。青梅街道をまたいで御岳渓谷(多摩川上流)
に降り、泥で汚れた靴とズボンの裾を清流で洗う。一面の新緑、渓谷に転が
る大岩の間を走る清流が織り成す景観は素晴らしい。若かりしころ、仕事の
関係で行った南米アマゾン川の源流を想い出した。

終着の御岳渓谷で

多摩川上流の景観

 当初の計画では下山後、木下君推奨の「玉川屋」で蕎麦を食し、その後、
造り酒屋の「沢の井」で反省会としていたが、「沢の井」の営業が17:00
迄であることから、今回は蕎麦は諦め、御岳渓谷沿いに整備された遊歩道を
散策しながら、「沢の井」を目指す。

旨い蕎麦で有名な玉川屋

最後はやはりこれ!!

 多摩川の清流で鍛えられた豆腐とコンニャクを肴に絞りたてのお酒(20度)
を飲みながら健康で生きていることの素晴らしさを実感しつつ、来月の計画
を練る。福間は6月第1週に計画されている和久理光正君主催の「尾瀬沼ト
レッキング」に参加。第3週に木下君と今度は御岳山に挑戦することになっ
た。



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