大山ハイキング
                              平成15年3月9日記                                   福間三郎  大山(だいせんにあらずしておおやまと呼ぶ)は丹沢山塊の南東部に位置し、標高 1252メートル、ピラミッド形の美しい山容を誇り、丹沢大山国定公園の一角を占 めている。山頂部に雲がかかると雨が降ると言い伝えられてきたところから別名「雨 降山」とも言われている。  相模平野のどこからでも見えるこの山は古くから霊山として関東一円の農民からは 農業の神、漁民からは航行守護の神としてあがめられ、江戸の庶民には福を授け災害 除けにあらたかな神として信仰を集めて来た山である。  大山の山頂は関八州の展望台に例えられ、眼下の相模湾に浮かんだ江ノ島、三浦半 島、大島、ふり返れば丹沢山塊の山並みが連なるその先に富士山の美しい姿を望める 大パノラマが楽しめ、関東地方では人気の高い日帰りハイキング・コースの一つに数 えられている。  3月8日(土)木下勲君の案内で大山・ハイキングを楽しんだ。前日、関東地方を 襲った台風並の低気圧で山道のコンデイションを危ぶんだが、ぬかるみに足を捕えら れながら山登りするのも楽しからずやという木下君の言に勇気付けられ、小田急線の 伊勢原駅に駆けつけた。
ハイキングコースの見取り図(ポンチ絵)
 伊勢原駅北口から大山ケーブル行きのバスで30分ほど揺られ、終点で下車。土産 物屋や食堂、宿坊が軒を連ねる石段を10分ほど登る。結構きつい坂でフーフー息を 切らしているとケーブル駅に到着。ケーブルカーに乗るとわずか6分で標高667メ ートルの山の中腹(終点)に到着。ここから歩いて5分ほどするとおよそ2千年前に 建立されたという大山阿夫利神社(下社)に行き着く。ここで道中の安全祈願を済ま せ、社殿の左側の鳥居をくぐり、いよいよ山頂を目指して登山の開始。登り始めはい きなり急な石段だ。あたりは杉の古木。昼なお暗くいかにも信仰の山らしい霊気が漂 う。時はすでに3月、本来ならハイカーで賑わう山道は昨日の悪天候の影響か、行き 交うハイカーはまばらである。

ハイカーを運ぶケーブルカー

阿夫利神社下社で先ず安全祈願

 路傍の石柱には丁目が刻まれている。登山口の阿夫利神社が1丁目で道程を28に
分け、大山山頂は28丁目。この丁目を目安にしながら山頂を目指せるようになって
いる。息を切らせながら24丁目あたりまで登って行くと、山道は残雪交じりのぬか
るみ道になって、ストック(登山用杖)でバランスを取りながら木下君の後を必死に
追いかける。この辺まで登って来ると足下とは逆に視界の方は大きくは開け、丹沢山
塊の山並み越しに富士山が顔を出す。木下君は何回も大山登山をして来たが、富士山
をこんなにはっきり拝めたことはないと言う。

登山口の急な石段

道中に生い茂る樹齢500年の夫婦杉


24丁目付近で眺めた富士山

富士山をバックに記念写真

 富士山を眺めながら一呼吸入れ、頂上を目指して後4丁目の雪道を無我夢中で登る
と、急に勾配が緩やかになって、先に頂上を極めたハイカーの歓声と共に360度の
大パノラマが視界に入って来る。登山口から丁度90分で頂上に到着。5センチほど
の残雪に覆われているものの、快晴のため関東一円の眺望が遠く大島まで拡がって見
渡せる。安物のデジカメでは到底納めきれない眺望だ。

山頂に鎮座する阿夫利神社の本殿(上社)

頂上の碑を挟んで記念写真


山頂からの相模湾の遠望

山頂に生い茂る雨降木と呼ばれる霊木

 山頂で昼食を挟み2時間を過ごし、14:00 別ルートから見晴台への道標に従って東
へ下山開始。気温の上昇に合わせ残雪が溶けだし、山道は泥んこと化し、歩行は困難
を極める。靴とズボンの袖が泥にまみれて見るも無残。悪戦苦闘の末、14:50 見晴台
(標高770メートル)に到着。このあたりまで下って来ると、回りはモミの木の原
生林に替わり、鹿よけの鉄柵で守られた普通の山道に戻る。見晴台のベンチに腰を掛
け、振り向くと先ほどまで居た大山の山頂をはるか後方に望むことが出来る。

下山途中の泥んこ道

モミの木の原生林


水辺に生えるスミレ科の野草

お疲れさまでした。

 15:00 見晴台を出発。ケーブル駅を目指してなだらかな山道を30分ほどかけてゆ
っくり下山。途中で出会った小さな滝で泥んこの靴とズボンの裾を洗う。16:20 発の
ケーブルに乗り、伊勢原駅行きのバス停に到着。17:00 伊勢原駅到着。近くの中華料
理屋で反省会。消費したエネルギーと同じぐらいのご馳走とお酒を飲みながら、今後
の予定を打ち合わせ。次は4月12日(土)高尾山の遅咲き桜を楽しむことになった。



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