白馬岳大雪渓を登る

平成16年7月27日
福間三郎

8期生ハイキング・クラブ主催(和久理光正君リーダー)の「白馬岳登山」に木下勲君と福間三郎が参加した。7月21−23日の2泊3日の日定だ。21日新宿発10:00のJRスーパー「あずさ」に乗り込む。関東地方は連日35℃を超える猛暑続きで車内の冷房が心地良い。早速、ビールを片手に和久理君の登山談義に耳を傾ける。 今回の計画は白馬岳(2932m)を夏なお深い雪渓を直登し、山頂の裾に豊富に咲き乱れる高山植物群(通称:お花畑)をめでながら、頂上を目指すことができる日本でも数少ない雪渓の3000m級の登山コースに挑戦しようという計画だ。

猿倉ー大雪渓ー白馬岳ー三国境ー小蓮華山ー栂池自然公園縦走コース

14:00大糸線白馬駅に到着。バスにて登山口の猿倉地点の山荘に15:00到着。夕飯までに時間があり、周辺を散策する予定だったがあいにくの雨模様。山荘内の喫茶店で時間を潰す。シーズンが始まったばかりで、他人との相部屋はまぬがれたが、通常は6畳部屋に8人は普通だそうだ。明日からのハード・スケジュールに備えて早めに就寝。


山荘の喫茶店で

山荘をいざ出発
樹間から望める白馬岳連峰

大雪渓の始点の白馬尻

22日06:00朝食、天気は快晴。身支度を整えて06:45山荘から大雪渓の入り口地点である白馬尻までの樹林の登山道を前方に白馬連峰を望みながら登ると約1持間で白馬尻地点に到着。雪渓の始まりだ。ここで木下君と福間は生まれて始めて登山靴に4本爪のアイゼンをセットする。

大雪渓の全容


大雪渓登頂前に


大雪渓の終点地点

いよいよ日本でも有数の大雪渓登山の開始だ。雪状は昨日までの雨でいささかシャーベット状のようだ。初心者は余計に気を付けなければならない。雪渓の真ん中に道しるべとして紅ガラが敷いてある。その上を登山者が列をなして登って行く。大雪渓は急傾斜帯もあれば緩斜帯もあり一般の登山道に比べればスムーズに傾斜が増減するので一定のリズムで歩くには都合がいい。意識的に歩幅を小さくし、荷物の量や傾斜に応じた前傾姿勢で歩くようにと事前に和久理君から指導を受けた。登り始めに福間が早速大の字になって転んだ。一度転ぶと列をなしている登山者に迷惑がかかるので余計にあせる。あせるとまた転ぶという具合で和久理君の手助けを借りながら、何とか雪渓の終了地点の葱平(ねぶかっぴら) にたどり着く。

大雪渓を登り切った地点のお花畑

ここで疲れた体には重いアイゼンをはずして草むらの上で大の字になって寝転ころびたいところ、しかしこの地点は急傾斜のため、落石の危険があるのでいま少し登って安全地帯に移って休むようせかされる。一休みすると高山植物のお花畑が存分に楽しめる。もう一息だ。


白馬山荘全景


山荘からの北アルプス連峰遠望

福間は当初カメラマンの役目柄を負い、美しい花々を撮って皆さんに紹介したいと思っていたが疲労度が激しく残念ながらその役目を果たせなかった。雪渓が終わった地点からガラガラとした 石の斜面をジグザグに登っていくとやがて登山道の 両脇は一面お花畑。前方に今夕泊る白馬岳山荘が見えて来た。1500人収容可能な日本一の山荘だ。ここまで来れば、一人で登れる気がして来たので、和久理君と木下君には先に登ってもらうことにし、二人よりも30分遅れて山荘に到着。遅い昼食をとりながらビールを飲んだら途端に元気が沸いて来て、先程までの疲れが吹っ飛んだ。窓越しに遠望する北アルプス連峰が実に美しい。時に15:00。部屋は7人の相部屋だそうだ。17:00に夕食。更に一杯引っ掛けて早めに就寝。泥のように眠り込んだ。

白馬岳山頂(2932m)登頂(66歳の快挙)

23日04:35起床。05:00朝食。05:45白馬岳山頂を目指して山荘を出発。06:30山頂に到着。天気は快晴そのもの。360度の大パノラマを堪能し、66歳の快挙を祝う。記念写真撮影後、次の目的地小蓮華山(これんげやま 、2769m)を目指して緩やかな稜線を北に向かって行動を開始。


小蓮華山への尾根道


小蓮華山山頂(2769m)にて

白馬岳から三国境、小蓮華山にいたる稜線は比較的穏やかで、日本海側から吹き寄せる横風は強いものの、信州側の鋭い傾斜と黒部側の緩やかな傾斜に茂る色とりどりの草花をめでながら,これが日本の屋根かと実感しながら先を急ぐ。


三国境から遠望した白馬岳


白馬大池

小蓮華山から石ころ道を下りながら、11:15白馬大池に到着。ここまでも苦しい行程であったが360度の景観を楽しみながらの 一応順調なトレイルであった。しかし、この先には、驚いた。はじめは珍しかったが、巨岩がゴロゴロした道が延々と続いた。歩いても、登っても先がある。足がもつれてきた。先方からきた人に尋ねたら、「最後までだよ」という。いつ最後なのか、不安になる。早く帰りたい、しかし足は進まない。天気も怪しくなる。木下君は、眠気をもようしている。やっと白馬乗鞍岳(2436m)にたどり着く。小雪渓を越える。下りだがまだ、巨岩の道だ。 巨岩の上から上へ、飛ぶように歩けばいいのはわかるが、それをする脚力がない66才だ。一歩一歩ゆっくり、下るしかない。和久理君のみは、食欲もあり元気だ。という状況で、通常の倍くらいの時間をかけ、15:50疲労困憊の体で栂池自然園のケーブル駅に到着した。麓の温泉、「栂の湯」に飛び込み3日間の汗と汚れを落とし、上り列車に転がり込み無事深夜に帰還。難儀な登山であったが己の限界に挑戦できたとい う意味で有意義な登山であった。



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