プラットホーム番号のない駅
2009/01/15  
三澤通宏(5R)  
 2003年秋頃から、日立−松江の行き帰りに、お城巡りをしている。200
8年6月、宮城県の遠田郡涌谷町にある涌谷城を見に行った。

涌谷城(左:模擬天守、右:現存櫓)

涌谷駅

 涌谷駅で下車したときは、改札口を通って外へ出るだけだったので、何も気に
ならなかったが、帰るとき、涌谷駅に入り小牛田(こごた)方面は、どのプラッ
トホームへ行けばよいかと頭上の時刻表を見たところ、「小牛田方面は、橋をお
渡りください。」(記憶なので、表現は少し違うかもしれない。)と書いてあり、
どこにもプラットホーム番号の記載がないので、おかしいなあと不思議に思った。
 通常、プラットホームが2つ以上ある駅は、駅舎側から1番、2番とプラット
ホーム番号がついている。これは、JRの内規で決まっているはずと思っていた
が、内規に規定はなく、単なる慣習なのだろうか。涌谷駅は、上り用と下り用の
プラットホームがあるので、小牛田方面は、橋を渡るので、当然、プラットホー
ム番号は、2番になるはずである。
 プラットホーム番号に慣れた旅をしていると、番号がないと気持ちが落ち着か
ない。改札口を通ってホーム側へ出たとき、駅舎の事務室から駅員が出てきたの
で、「小牛田方面は、橋を渡るのですね。」とわかっていても聞いてしまった。
駅員は、当然、「そうです。」と応える。「この駅には、なぜ、プラットホーム
に番号がついていないのですか。」と質問すると、「前からついてないんです。
私は、3年前に来ましたが、プラットホーム番号がないので不思議に思いました。
電車を迎えるために私も橋を渡りますので、一緒に行きましょう。」と言って話
しながら橋の方へ歩き出した。「プラットホーム番号に慣れていると、番号がな
いと不安になりますね。」というと、「そうですか。以前、時刻掲示板に「上り」
「下り」と書いたところ、わからないといって反対され、今のようになっていま
す。」と。「地元の人は、慣れているので、何も感じないかもしれませんが、初
めて来た旅行者にとっては、奇異であり不安に感じます。プラットホーム番号を
付けるべきだと思いますが。」というと、「言っておきます。」という。いろい
ろ話しているうちに電車が来たので、駅員と別れ電車に乗った。
 駅員の受け答えが、どうも当事者らしくないので、帰宅後、インターネットで
調べたところ、涌谷駅は、業務委託駅で、東北総合サービス株式会社に委託され
ていることがわかった。ならば、駅員は、JR社員ではなく業務委託先の社員で
ある。業務委託先の社員ならあのような応対になるのはやむ終えないと思った。
彼は、「言っておきます。」と言ったが、言ったとしてもJRは、本気で取り上
げないのではないかと思った。ならば、JRに直接言おうと思い、JRのホーム
ページのメールフォームを出し、書き始めたが、待てよ、変わった駅が一つぐら
いあってもいいじゃないか、統一は、合理的であるが風情がなくなる、と考え直
しJRへの寸言はやめにした。
 こういう特殊な駅は、鉄道雑誌が興味を持つのではないかと思い、雑誌社への
寸言を考えた。しかし、雑誌社へ寸言しても、何の得にもならないので思い留ま
った。では、この文章を少しアレンジして雑誌社へ投稿してはどうだろうか、採
用されれば、少々の原稿料が入ってくる。しかし、投稿するには、時刻掲示板と
かプラットホームの写真がほしい。それには、もう一度、涌谷駅を訪問しなけれ
ばならない。東北のお城巡りは、ほゞ終わっているので、いつになるかわからな
い。かたや、駅員の報告をJRが素直に受け入れてプラットホーム番号を付けて
いたら再訪問の意味がなくなる。再訪するときは事前によく確認しよう。