福田春岳の古里写真紀行(その3)

2011.12.20 福田 熹  


 平成23年10月27日(木)
 今日最終日、兎に角忙しい。初日、東本町"うなぎやくも"の女将から宍道湖魚連の"しじみ採り"時間とスケジュールを確認済み。本日がその該当日だ。月木金の7:00〜10:00が漁連で定められた採取規則の由。
 
 6時30分、魚町の山陰合同銀行本店の裏側湖畔に行く。宍道湖大橋の下裏側をくぐって湖畔に出る。真正面が皆実館だ。カメラをセット、撮影デモをする。6時50分過ぎ大橋川方面より、モーターボートレースの如き轟音をなびかせ、漁師一人乗りの小型作業船が我先にとやって来た。この撮影は昨晩の宍道湖夕日と同様今回旅行のメインイベントだ。失敗は許されない、最後のチャンスだ。

 が、威勢のよい作業船約10艘は先を急いで全艙嫁ヶ島の先に往くではないか。なぜだ?陽が差し始め、湖面がもやっていて、遠距離の撮影は"想定外"だ。次に約15艘、これらは宍道湖大橋をくぐった所で、エンジンを止めた。"しめた、待ってました!"

 ところが、しじみを採る約5メートルぐらいの"鋤簾(ジョレン)"を湖面に突っ込むわけでなく、漁師はくわえタバコのまま、じーと湖面を睨んでいる。するとまもなく、湖面に竹さおを突っ込み、バラバラに移動開始となった。
と、腕時計を見る、間もなく8時だ。"弱ったなあ、今日はこの後、出雲大社、恵曇、(古浦)等予定一杯なんだ。しじみは採りすぎで今は採れないことは承知しているんだ。とにかく、その長い"鋤簾(ジョレン)"を湖面につっこんでくれないと、写真にならのだよ"


今朝はどうかな?しじみ採り

 それから、約15分後、ちらばった作業船がやっと作業開始だ。散らばっているので、構図がやっかいで写真にならない。 単なる説明写真、例えがわるいが "警察の現場検証写真"だ。止むを得ずシャターを切る。本当に残念だ。その後、約15艘程度到着、但し約10艘は浜佐田方面へ直行した。残り5艘は皆実館の前でストップ。防水服で身をつつんだ漁師が湖水のなかに入る。


どこにいるのか?、大和しじみ

 あの辺は船道でないから、浅いんだ。黒いスイカが、ぽつりと湖面に浮いているようで写真にならない。残念ながら、9時前に三脚たたんで、終わりにした。

 願わくば、今後はもっとしじみ採りを制限して欲しい。バブル経済の終焉に似ている。しじみ採りで儲かって儲かって、"しじみ御殿"を建てたのは誰なんだ?貴重な宍道湖の資源が枯渇したら、どうするんだ!漁連も漁師も反省すべきだ。ちなみに、松江のみやげものとして売られているしじみの加工品は、中国産がほとんどだ。馬鹿を見るのは、信じて買う観光客だ。(終わり)