久し振りに桜の松江城をみる

森谷喜男 (8R) 
 大阪の我家から松江市内は295km、その90%以上が高速道路(阪神高速、中国道、米子道、山陰道)になり、以前のようにくねくねと峠道をドライブすることもなくなり便利になっている。墓参か忌み事で、多くは日帰りドライブで行き来するが、今回はまだ松江に連れて行っていない次女夫婦と孫を案内することが目的で、4月8日、久し振りに松江城にも立ち寄った。
 松江城に入るのは6年ぶり、まして桜時分の松江城は何十年ぶりのことだろうか。松江市政だよりで既に満開は3月末とわかっていたが、桜は幸いにもしっかり残っており、花見のピークを過ぎて人気も少なく、それがあたりに静寂な雰囲気をかもしだして、凛々とした古城を感じさせてくれた。珍しく青空、日の光に天守閣近辺の桜が華々しく映え、なにか寄せつけない気迫さえ感じる。松江に住んでいた頃には、何気ないお城であっても、一旦ふるさとを離れると新鮮な風景に写る。桜餅を食べながら、しばし舞い落ちる花びらに目を凝らして、古い時代に思いをはせた。(もっとも、実演販売の桜餅は昔の茶店の桜餅とは、すっかり違った味のものであった)

松江城前


松江城に桜が残る

 ちょうどその1週間前には、大阪城で花見をしたばかり。人出が多い都会の城と違って、やはり松江の城はいつも素朴に人を迎えてくれる感じがする。大手前の堀、子供の頃はここに咲く蓮の花の開花の音が聞けるというほどだったが、今はきれいになり城石の影を映している。

堀川めぐり椿谷
 

 こたつのある堀川めぐりにも乗ってみた。一番印象に残ったのは椿谷あたりの裏、うっそうと茂った樹木が堀川に垂れ込んでいて、松江にこんな景色があったのかと正直驚いた。奥谷近辺の人には、ありふれた風景だろうが、私にとっては松江の新風景発見であった。川津在の船頭さんと話しているうちに「ひょっとしたら、ひろちゃん?」と聞かれてこれもいやしになった。
松江から車で帰るときは、天気がよければ松江駅で弁当を買い、米子道の蒜山SAの芝生で広げて食べるのが

蒜山で

定番。この時期までの大山はまだ雪も残りとくに鮮やかである。車を走らせていると大山も場所によって大きく姿が変わり、この時期の米子道ドライブは、変化のない中国自動車道と違って楽しみのひとつである。それにもうひとつ、殿町の一色庵で食べる出雲そばも帰松の楽しみで、今回は驚いたことに食べないと思っていた4歳の孫がおかわりして「わりご」を2杯半食べた。親?バカで、「味がわかるな」と感心。のんびりした旅であった。



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