私のテレビ番
山田一郎(H27/12/20)


 定年退職してからも、何かと外出する機会が多かったのですが、最近は家でテレビを見る時間も増えてきたので、私が観ている番組のいくつかを紹介します。

「満州と山陰地方の番組」
 私は、満州(中国東北部)で生まれ育ち、戦後、父の郷里の鳥取県東伯郡に引揚げて一時寄留したあと、父の就職先の仁多郡八川村(奥出雲町)で中学時代を過ごしました。松江は、再発した病気のために日赤に入院した時期を含めるとほぼ5年間の短い月日でしたが、充実した高校時代を過ごしたところでもあるので、いろいろの想い出が多いところです.
 そこで、満州や松江を含む山陰地方の番組は逃さないように録画して観ていますが、放送予定を「松高廊下」に池田さんが投稿しているのでとても助かっています。

「世界ふれあい街歩き」(BS−プレミアム)
 海外旅行のトラブルの心配もなく、気分穏やかに世界各地の観光ができるので、大変気にいっています。観光客の目線で訪問した都市の街並みとか人々との出会いが撮影されており、ナレーションも旅行者が立ち話をしているようにカバーしているのが心地よいです。
 訪れたことの無い国や都市の場合は、新鮮で興味深く、また、自分が仕事や観光で既に行ったことがある場所は、その時に行かなかった所もあり、写真やパンフレットをそばにおいて妻との会話も弾みます。

「小さな村の物語・イタリア」(BS―日本テレビ)
 イタリアの小さな村の家族の歴史や日常の生活を中心に、その村の人々の暮らしぶりなどを紹介する内容です。画面に出てくる人々の生活をたんたんと映しているので、自分もその村の隣人になって一緒に過ごしているような気持ちにさせてくれます。
 第2次大戦の戦場と敗戦の混乱の辛い苦労を乗り越えて、たくましく葡萄畑や家畜の世話をしている農村生活は、満州の戦中戦後の体験や島根の山奥の農家の人々の生活と重ねあわせて、私にとっては見逃せない番組の一つです。
 
「日本縦断 こころ旅」(BS−プレミアム)
 視聴者から投稿された「こころの風景の場所」に自転車で向かい、そこで「お手紙」を読む番組で、日本各地を年に春・秋2回のシリーズで放送され5年になります。
 主役の火野正平さんを先頭に、カメラマン・音声係り・用具係り・監督の計5人が自転車で走りながら画像を作り、バックに流れるテーマ音楽も場面の内容に合うように絶妙に編曲してあり、なかなか見応えがあります。
 私は、就職後「相模原市」に住んでいましたが、ドロップハンドルの自転車で息子と一緒にあちらこちらをツーリングしました。その頃の元気だった時期を思い出し、自分がテレビのメンバーに加わって、同じくギアーを変えながらペダルを踏んでいるような気分になります。
 特に好きな場面は、ほぼ等間隔で走る5人を映しているところです。各地の澄んだ河川や白い砂浜の海岸、黄色い稲穂や広い野菜畑、新緑や紅葉の野山などの風景が織り込んであると、見事な「絵」になっています。
 また、「トウチャコ(到着)」してから読む想い出の手紙にはそれぞれの人生が含まれていて、エンディングに映るパノラマの水平線は、自分の来し方もその風景の遥か彼方に消えていくようです。

***あとがき***
 前述の自転車の番組で、火野さんが厳しい上り坂を「ヒィーヒィー・ハァーハァー」云いながら登り終え、そして、下りながらつぶやく「人生、下り坂最高!」の言葉は、まったく云いえて妙ですが、これからの余生は、出来れば傾斜のゆるい下り路を転ばないでのんびりと過ごしたいと思っています。

次は京都に在住の有馬祥恵さんにお願いします。