演目  カネは天下の回りもの
             作 福田 春岳 

みなさん お元気でお過ごしですか? 景気が二番底を脱したともいえずデフレだデフレだと年初から、やかましいことですね。
年金生活者にとっては とにかく お金を有効的に使いたいものです。
     
さて、"とかくこの世はカネ次第"とか"カネは天下の回りもの"とか"地獄の沙汰もカネ次第"とか 兎に角 カネ カネ カネ まったくいやになりますねえ。
私もどっかの政党の元幹事長みたいに4、5億円もタンス預金したいものです。
     
私の知っている近所のおかみさん 旦那が不動産屋を経営しているので一応 副社長の肩書き、 なにもしないのに 副社長で給料もらっています。
全く けしからん話です。それじゃあ 何をやっているかといえば他人からカネを集めてカネの運用者に渡す、そして 後日元金と運用益を還元する。上品な言い方しましたが、旦那がやっている不動産屋の手数料をまねていわゆる紹介斡旋の手数料を"かすめている"と言ったほうが より解かりやすい言い方でしょう。

例えば、百万円単位で集金 会社の得意先で元証券会社の営業マンの運用者に運用を委託 "年間二割で回す"をうたい文句で120万円円の成果とすると 運用益を三等分して一人頭 約6万5千円の儲けとなる"皮算用"です。もっとも 年間二割も常時廻りませんけどねえ。株価が右肩上がりの時はまあまあの運用でしたが、デフレの今はそうゆうわけにはまいりません。でも、したたかなおかみさんはセールスがうまいのです。
     
「福田さん どう?二百万円ほど預けてみない菅さんは 株が上手なのよなんだ いろいろ奥の手を知っているんだってさあ しかも 今、底値だからチャンスなんだって 小沢さんの奥さんもやっているわよ」
     
この手の口車に乗った奥さま連中がいるらしいです 一人二人じゃないらしいですよ。ヘソクリで亭主に内緒で株やるから 損しても泣き寝入りというヤツで 他人の弱身につけこんだ都合のよい悪知恵です。

「今日は 奥さんいらしゃるの?」
小沢の奥さんがくだんの不動産屋の奥さんをたずねました。
      
「あ〜ら いらっしゃい なんなのよ?」

「あのさあ、株の資金で貴方に預けた百万円さあ ちょっとものいりなんで解約したいんだけどねえ」

「あそう 株の話なのねえ 今、買値を下廻っているからさあ なにも損切りすることないわよ 貴方とは永い付き合いだからさあ 私が百万円立て替えて上げるわよ 心配いらないわよ」

「いいのよ 仕方ないわ 損切りするわよ 主人に知れたら 大変なのよわずらわしいので スッキリしたいのよ」

損切りすれば手数料、 借りれば利息、小沢さんの奥さんはあきらめて 損切りに踏み切ったのです。

実はこの話には裏話があって もともと運用担当の男性が小沢の奥さんに株を勧め自分が百万円を奥さんに直貨し更にこの金を不動産屋の奥さんに預けるよう働きかけたものです。運用担当者と不動産屋の奥さんとの共同謀議かどうか 解かりませんけどねえ。

小沢さんは運用担当者から百万円かりて不動産屋の奥さんに預け、奥さんは百万円か多分、手数料その他ピンハネした金額を運用者に委託する。
この話では運用者が損切したカネを不動産屋の奥さんに渡す 奥さんはまた多分ピンハネして残金を小沢さんにかえす 小沢さんはというと泣き泣き差額を調達し百万円を運用者に返金する。

なんかカネもうけの話はないものか? なんとか"他人のふんどしで相撲をとりたい"と 海千山千のカネの亡者がこの浮世にはゴロゴロいるのです。まさに 井原西鶴の世界そのものですよ。
      
"グルグル廻る山手線"なんていいますがねえ。皆さん東京のJR山手線をご存知でしょうか?新宿から池袋上野方面にゆく外回りは一応始発終点は池袋、新宿から渋谷品川方面にゆく内回りは一応始発終点は品川です。
あまりご存知じゃあないでしょう どうでもよいことですからねえ。
      
"グルグル廻る"金儲けの話 外回りも内回りもありません。
ただ 始発と終点はあるのです。終点で泣くのはいつも素人です。
      
八期生のみんさまもくれぐれもお気をつけあそばせ    
                   お粗末さまでした。
                    (2010・12.01)