久しぶりの香港旅行で感じたこと 

平成29年3月24日
小林 信生




 25年前に駐在したことのある香港、2月下旬に10年ぶりに観光で訪れた。今も昔も変わらないのは、街中の活気だ。香港人は、土地活用の天才である。猫の額のような小さな地面にでも建物を建ててしまう。街中いたるところが建設現場で、ごった返している。

 ビルの軒が引っ付くように建てられているのも異様に感じる。地震がない香港では、いわゆる鉛筆ビルが多い。東京都心にも鉛筆ビルはあるが、その比ではなく、まさに鉛筆のように細く、しかも高層である。このように密集する建物は、香港以外では、あまりお目にかかれない。そして、ビクトリア湾の埋め立てが、九龍半島と香港島の両海岸から進み、湾の幅が少し狭くなったような感じがする。
 食の香港は不変で、最高である。どんなレストランに入っても、まことに美味である。客の舌が肥えているので、まずい料理を出したら、たちまち閑古鳥が鳴くといわれる。北京では、レストランの看板に「港風・・・」と書かれたものがあるが、これは「香港仕込み」のシェフがいるという意味である。丁度、日本でも一流ホテルのシェフが、「フランス仕込み」といって、売り込むのと同じである。


 街には、世界中から輸入された車が走り回る。やはり、ドイツ製、日本製が多いが、お金持ちが多いのであろう超高級車も多く走っている。自動車好きの小生には、興味深く、あたかもモーターショー会場に来ているような錯覚に陥いってしまう。

 近づいているが3月26日に、5年ごとの香港トップとなる行政長官の選挙が行われる。5年前、民主化を求めて、直接選挙を要求する若者・学生たちのデモが警官隊ともめたことをご記憶の方があると思うが、結局、彼らの要求は通らず、今回も1200人の選挙人が3人の候補者から行政長官を選ぶ間接選挙になるようだ。しかも、この選挙人の過半数を親中派が占めると言われている。(この記事がアップされる頃には、結果が出ているかもしれない。)

 1997年に英国から中国に返還されたとき、香港は一国二制度ということで、自治統治と自由経済は保証されているものの、中国のグリップが効いていて、完全な民主化が進行しにくい傾向にあるのは否めない。