わが街、坂の街、あざみ野
                        2003.7.12 木下 勲  横浜市青葉区のあざみ野に引っ越して20年になる。その前10年は隣り のたまプラーザだから、東急田園都市線沿線に住みついて30年が経過した。 「あざみ野」駅は、駅予定地に入ったらあざみの花が咲いていたそうな。と、 まことしやかな説明がなされている。当節、あざみの花など探すのは困難だ。 いまは、髪を茶色に染め、ピアスをぶら下げ、右手にタバコ、左手で携帯電 話をかけながらの若いネエチャンが駅前の商店街を闊歩している。これが代 わりの、あざみの花だ。

あざみの花
あざみ野駅前

 駅前商店街は、一軒一軒みれば流行り廃れがあるが、われわれ駅を利用す
るサラリーマンにとって、みな心和む存在だ。文具店、本屋、和菓子屋、そ
ばや、パン屋さんなど。私の生まれた松江の天神町は、夜7、8時になると
猫の子一匹通らないらしい。商店街が廃れぬよう、たまには買い物を心がけ
ているところだ。近々、遊水池上を活用したレストランが三軒できる。その
斜め前では、小山を削り取ってのスーパーの建築も始まった。賑やかになる
一方で、自然が侵されてゆく。もっとも、私の団地も山林を破壊して建てら
れているので、他のことはとやかく言えないが。駅前にある、竹やぶとその
奥の萱葺き屋根の家は、いつまでも残ってほしい。

駅前の竹やぶ
あざみ野の坂

 地下鉄開通、急行停車と便利になったが、いやなことがある。それは、坂
だ。あっちこっち、坂だらけ。松江で坂といえば、馬ノ背の坂ぐらいでごく
限られた所にしかなかった。しかし、このあざみ野はどうだ。あざみ野とか
ぎらず横浜は、どこにいっても坂、坂、また坂。右も坂、左も坂。外出時は
だらだら下り坂、帰宅時は汗のにじむ上り坂。これは、今後の年金生活にお
ける運動不足を解消させようという、神のおぼしめしなのでしよう。あと1
0年の内、終のすみかを見つけるまで、住み続けるつもりだ。

*・・・「原色牧野日本植物図鑑」より


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